猟師の年収はいくら?平均・収入源・地域差を解説
猟師の年収はひとつの数字で語れない
猟師(狩猟者)は会社員のように「月給+賞与」で給与が決まる職業ではなく、捕獲報奨金・業務委託報酬・ジビエ販売・兼業収入などを組み合わせて生計を立てるスタイルが一般的です。そのため年収は「専業か副業か」「どの地域で活動するか」「年間何頭捕獲するか」で大きく変わります。
公開されている各種情報を整理すると、専業猟師の年収はおおむね200万〜500万円程度、副業・兼業であれば本業収入に加えて年10万〜100万円程度が一つの目安として示されています。ただしこれは活動実態の幅を広くならしたレンジであり、個人差が非常に大きい点には注意が必要です。kariudo.jp
- 専業猟師:年収200万〜500万円程度(捕獲報奨金+ジビエ販売など)
- 副業・兼業猟師:本業収入+年10万〜100万円程度
- 有害鳥獣対策員(自治体委託):年収300万〜450万円程度の例も
- ジビエ事業者(加工・販売一体):年収300万〜800万円程度の例も
働き方別に見る年収の目安
猟師と一口に言っても、狩猟そのものを本業にする専業型、本業の傍ら猟期だけ活動する副業型、自治体から委嘱を受けて通年で駆除にあたる有害鳥獣対策員、捕獲から加工・販売まで手がけるジビエ事業者など、働き方は多様です。
特に自治体の有害鳥獣対策業務は、出動日当・月額固定報酬・待機手当などが組み合わされるため、契約形態によって収入の安定性が変わります。認定鳥獣捕獲等事業者の資格を持つと年間300万〜350万円程度を稼げるケースもあるとされます。careerboost.wpx.jp
- 専業猟師:200万〜500万円程度
- 副業猟師:本業+30万〜100万円程度
- 有害鳥獣対策員:300万〜450万円程度
- ジビエ事業者:300万〜800万円程度
- 猟師ガイド・講師:200万〜400万円程度
収入源1:捕獲報奨金と地域差
捕獲報奨金は自治体から支払われるもので、国(環境省)の交付金と自治体独自の上乗せ分で構成されます。国の交付金はクマ1頭あたり8,000円が基準ですが、自治体による上乗せ額の差が非常に大きく、同じ頭数を捕獲しても年収が大きく変わります。kariudo.jp
たとえば年間20頭のクマを捕獲した場合、報奨金が1頭8,000円の地域では16万円程度、1頭81,300円の地域では約163万円に達する計算になります。報奨金の単価が高い地域で活動できるかどうかが、年収を左右する重要な要素です。
- 国交付金の基準:クマ1頭あたり8,000円
- 北海道池田町:81,300円(2025年に5万円から引き上げ)
- 北海道紋別市:50,000円(ヒグマ対象)
- 富山県射水市:50,000円(2025年新設)
- 新潟県長岡市:20,000円、秋田市:10,000円
- シカ1頭7,000〜15,000円、イノシシ1頭8,000〜20,000円程度の例も
収入源2:業務委託・出動日当
有害鳥獣対策の業務委託を受けている猟師の場合、出動1回あたりの日当が支給されます。金額は自治体によって異なりますが、1回5,000〜15,000円程度が一般的です。月額固定報酬の契約では月15万〜25万円の安定収入を得ているケースもあります。
出動日当型は活動回数によって収入が変動するため、天候や獣の出没状況、行政予算の影響を受けやすいという特徴があります。
- 出動日当(1回あたり):5,000〜15,000円程度
- 月額固定報酬(業務委託):15万〜25万円程度
- 待機手当:1,000〜3,000円/日程度
収入源3:ジビエ販売・副産物
捕獲したシカやイノシシを食肉として加工・販売するジビエ事業も重要な収入源です。農林水産省の調査によると、ジビエの食肉販売金額はシカ肉だけで約25.7億円、イノシシ肉で約16.4億円に達しており、外食産業や消費者への直接販売など流通経路が広がっています。kariudo.jp
肉のキロ単価は1,000〜2,000円程度が目安とされ、毛皮・骨・角などの副産物や、ペットフード向けの販売も一部で行われています。加工・販売まで一貫して手がけるほど単価は上げやすい一方、設備投資や衛生管理の手間が増えます。
- ジビエ食肉販売:キロ単価1,000〜2,000円程度
- シカ肉販売:約25.7億円(農水省 令和5年度調査)
- イノシシ肉販売:約16.4億円(同)
- 毛皮・鹿角製品など副産物販売も一部あり
手取りを減らす経費と不安定さ
猟師は個人事業主として活動することが多く、年収から経費を差し引いた金額が実質の手取りになります。猟銃・罠・装備の購入費、狩猟保険・免許更新費、車両・ガソリン代・弾薬費、ジビエ処理施設の利用料などがかかり、専業の場合は年間50万〜100万円前後の経費が発生する例も示されています。careerboost.wpx.jp
また捕獲数や単価が不安定で、天候・獣害の発生状況・行政予算に左右されやすい点も、猟師の収入の特徴です。年収を安定させるには、複数の収入源を組み合わせることが現実的とされています。
- 猟銃・罠・装備購入費:数十万〜100万円以上
- 狩猟保険・免許更新費:年間2〜3万円程度
- 車両・ガソリン・弾薬費:年間10〜30万円程度
- ジビエ処理施設利用料・衛生検査費:数万円〜
- 専業の場合の経費目安:年間50万〜100万円前後
参考:給与所得者全体の年収水準
猟師の年収を考える際の比較材料として、厚生労働省「令和7年(2025年)賃金構造基本統計調査」では、一般労働者(男女計)の所定内給与が月額340,600円、男性373,400円、女性285,900円と公表されています。これを単純に年収換算すると男女計で約490万円、男性で約540万円、女性で約410万円が一つの参考値になります。
ただしこれは賞与を含めた概算であり、猟師のように報奨金や委託料で収入を得る個人事業主の実態とは前提が異なります。あくまで「給与所得者全体の平均的な水準」として比較するための数値です。mhlw.go.jp
- 一般労働者・男女計:所定内給与340,600円/年収換算 約490万円
- 男性:373,400円/約540万円
- 女性:285,900円/約410万円
- 大学卒:396,300円/約570万円、高校卒:297,200円/約420万円
この記事のポイント
猟師の年収は活動形態や地域で大きく変わるため、単一の平均値だけで判断せず、複数の収入源と経費を踏まえて考えることが重要です。
- 専業猟師の年収はおおむね200万〜500万円程度、副業は年10万〜100万円程度が目安
- 有害鳥獣対策員やジビエ事業者は300万〜800万円程度の例もある
- 捕獲報奨金は自治体で大きく異なり、1頭8,000円〜81,300円の幅
- 経費は専業で年間50万〜100万円前後かかるケースがある
- 年収は天候・獣害状況・行政予算に左右されやすく不安定
- 公開情報に基づく推定であり、実際の年収は個人差が大きい