給料未払いの実態と年収への影響|時効3年・96%解決データ
給料未払いはどれくらい起きているのか
厚生労働省が2026年8月21日に公表した令和7年の監督指導結果によると、労働基準監督署が監督指導を行った賃金不払事案は22,605件で、前年(22,354件)から251件増えています。対象となった労働者は173,016人、不払い金额は128億5,782万円でした。
単純計算では1人あたり約7.4万円が未払いになっていた計算になります。月給の一部が数か月分たまるケースもあり、金額は数万円〜数十万円台まで幅があります。
なお、これはあくまで監督指導に入った事案であり、泣き寝入りしている件数は含まれていません。実際の未払い件数はさらに多い可能性があります。
- 監督指導した件数:22,605件(前年比+251件)
- 対象になった労働者:173,016人
- 不払い金额:128億5,782万円
- 1人あたりにすると平均約7.4万円規模
給料未払いが年収・手取りに与える影響
厚生労働省の令和7年賃金構造基本統計調査では、一般労働者(短時間労働者以外)の所定内給与は男女計340.6千円でした。単純に12か月分+賞与を加えた年収の参考値は約450万〜490万円台です。
たとえば月給34万円前後の人が1か月分の給与を未払いにされると、その年の年収は約34万円目減りし、420万〜460万円台まで下がる計算になります。数か月分が未払いになれば、年収ベースで50万〜100万円規模の差が出ることもあります。
残業代の未払いが常態化している場合は、月2万〜5万円×12か月で年24万〜60万円ほどの差になり得ます。基本給が支払われていても、手取りと年収の実態は大きく崩れます。
ただし、未払い分は労働者の請求権であり、取り戻せれば最終的な年収は変わりません。問題は「請求しないまま時間が過ぎる」ことで、時効や証拠散逸のリスクが生じる点です。
- 月給34万円前後・1か月未払い:年収で約34万円減
- 3か月未払い:年収で約100万円減の計算
- 残業代未払いが常態化:年24万〜60万円規模の差
- 未払い分は請求できれば取り戻せる金銭債権
未払い事案の96.1%は支払いに至っている
「労基署に相談しても意味がない」と言われることがありますが、実測データは逆を示しています。労働基準監督署が監督指導に入った事案のうち、96.1%はその年のうちに支払いに至ったと報告されています(rouki.help)。
支払われないまま終わるケースの多くは、証拠が不足している、相談や申告をしないまま止まっている、といった要因が指摘されています。逆に言えば、勤務記録や給与明細をそろえて相談できれば回収の可能性は高い領域です。
- 監督指導に入った未払い事案の96.1%が年内に支払い
- 「意味ない」と感じる主因は証拠不足と相談止まり
- 勤務記録・給与明細・シフト表の保管が有効
請求できる範囲と時効・遅延利息
賃金請求権の時効は3年です。退職してから時間が経つと請求しづらくなるため、在職中に気づいた時点で動くのが基本です。
退職後に未払いが残っている場合、年14.6%の遅延利息(退職手当等についての民法の法定利率)を請求できるとされています(rouki.help)。未払い額が50万円で1年遅れれば、およそ7万円台の利息が加わる計算です。
未払い額の相場は事案によって大きく異なり、数千円の残業代から数百万円規模まで幅があります。一般労働者の平均所定内給与340.6千円(mhlw.go.jp)と比べると、数か月分の未払いは年収の1〜2割に相当する水準です。
- 賃金請求権の時効:3年
- 退職後の未払いには年14.6%の遅延利息を請求できる場合がある
- 未払い額は数千円〜数百万円まで事案差が大きい
- 平均月給34万円前後の人なら数か月分で年収の1〜2割規模
年収を落とさないための具体的な行動手順
まず、未払いの事実と金額を自分で把握します。給与明細、タイムカード、勤務表、シフト表、業務メールなど、労働時間と支払額が分かる書類を時系列でそろえます。
次に、事業主に対して未払い額と根拠を示して支払いを求めます。口頭だけでなく、内容証明郵便やメールなど記録が残る方法が有効です。
応じない場合は、労働基準監督署に申告するか、労働審判・少額訴訟などの法的手続きを検討します。労働組合や弁護士への相談も選択肢です。
年収を下げずに済ませるには、未払いを放置せず早期に動くことが最も重要です。転職を考える場合も、未払いの請求権は退職後も残るため、並行して手続きを進められます。
- 給与明細・勤務記録を時系列で整理する
- 記録が残る方法で支払いを請求する
- 応じなければ労基署への申告や法的手続きを検討
- 転職・退職後も請求権は残るため早めの行動が有利
未払いが起きやすい職場と年収水準の目安
産業別の所定内給与を見ると、電気・ガス・熱供給・水道業が444.0千円、学術研究・専門・技術サービス業が440.3千円と高水準な一方、宿泊業・飲食サービス業は277.2千円と最も低くなっています(mhlw.go.jp)。
年収換算の参考値では、電気・ガス・熱供給・水道で約640万円、学術研究・専門・技術サービスで約635万円、情報通信で約585万円、製造業で約475万円といった水準です。
未払いが起きる職場は業種を問いませんが、小規模事業所や資金繰りが厳しい業態では、未払いと離職が重なりやすい傾向が指摘されます。応募・転職時には、給与支払日の遵守状況や離職率も確認しておくと安心です。
- 高水準帯:電気・ガス・熱供給・水道(月44.4万円/年収約640万円目安)
- 高水準帯:学術研究・専門・技術サービス(月44.0万円/年収約635万円目安)
- 情報通信(月40.6万円/年収約585万円目安)
- 低水準帯:宿泊業・飲食サービス業(月27.7万円)
この記事のポイント
給料未払いは他人事ではなく、令和7年だけで22,605件・173,016人・128億5,782万円規模で確認されています。1人あたり平均約7.4万円の未払いが発生している計算です。
未払いが数か月続くと、平均月給34万円前後の人では年収ベースで50万〜100万円規模の差が出ることがあります。ただし未払い分は請求できる金銭債権であり、取り戻せば最終的な年収は変わりません。
- 監督指導事案の96.1%は年内に支払いへ至っている
- 賃金請求権の時効は3年、退職後は年14.6%の遅延利息を請求できる場合がある
- 給与明細・勤務記録の保管と早期の相談が回収の鍵
- 未払い額は数万円〜数百万円まで事案差が大きい
- 未払いを放置すると時効や証拠散逸で回収が難しくなる